川崎でディストラクションベイビーズ、恐るべき傑作。暴力ってこんなに爽快なものだったんだなーと、目を開かれた。否定するから、抑圧するから、それは耐え難い陰惨なもに変質するのであって、もともと暴力は爽快なものだったんじゃないか。そう、今一番必要なのは暴力肯定の思考なのだ。世間はそんな暴力肯定を許しはしないだろう。天皇制と九条が結託して作り出す、やさしい日本人たちの差別だらけの窒息しそうな管理社会は。だが、そんなものはもううんざりだ。もう我慢しなくてもいいのではないか。暴力は爽快だ、と言い切れる地点まで、この映画と共に行ってしまえ!
黙々とひたすら暴力を享楽する主人公は素晴らしいが、何度かしゃべってしまうのがちと残念だった。断食芸人のごとく、無言を貫けば、さらに強度が増したろうに。

早稲田松竹岩井俊二三本立て。やっぱりこの監督素晴らしいわー。あくせく働いているうちに忘れていたあの恋の感情がよみがえり、懐かしさで胸が締め付けられた。恋、恋、恋、それが大事。セックスなんてどうでもいいのだ。それにしても岩井監督の女優の撮り方は神がかりだ。松たか子中山美穂ってこんなに素敵な女優だったのか、と賛嘆。

最近いまいちな映画ばかりでイライラが続いていたが、久々に目が覚めるほど衝撃的な傑作を見ることができた。岩井俊二監督の「リップヴァンウィンクルの花嫁」だ。この狂気、この魔力、これぞ映画の力!泣きじゃくって映画を見終え、自己の感性が変容したことを快く思い、ひとり酒を飲んでいる。それにしてもなんで俺は今までこの監督を無視していたのだろう。この監督を軽視してきたシネフィル界隈の空気に流されていただけじゃないか。今こそその界隈を呪い、岩井映画へ向けて自己を開いていくべきだ。

ユーロスペースでフラー特集。チャイナゲイト、傑作。問答無用のアクションに打たれる、これぞ映画。べートーヴェン通りの死んだ鳩、ぶっ飛んだ面白さ随所にあり、クリスタラングの存在感素晴らしいが、ちと長すぎ。90分に圧縮してれば傑作だったものを。